ー父への感謝と誇りー

令和五年十二月二十六日、父 脩治が八十四歳の生涯を終えました。

⁡悪性リンパ腫と分かったのが十月の事で本当にあっという間でした。回復を信じていましたが腸閉塞と肺炎を続けて発症し、最期の時は家族全員 愛する母と息子三人に見守られ空へと旅立ちました。

⁡今日はその自慢の父の事を少し紹介させて下さい。

⁡生まれは山梨で、小学生の頃両親を失い、多感な時期を過ごしました。芸術好きで西洋絵画や音楽に夢中になり、自身も油絵の制作を行いました。画家を目指しついに三十代、二度に渡り欧州へと渡って敬愛する画家達に縁のある地など訪れ、旅しました。父にとっては人生のハイライトといえる、とても刺激的な時間だったと思います。

⁡その後も絵は書き続けながら就職し、父四十五歳、母三十歳の時に結婚し長男の僕が生まれました。年齢も平均的な父親よりも随分と上で仕事引退後の晩年は読書に没頭していました。

⁡遺品整理をしていると、沢山の父の絵画作品が出てきました。その中に父からもらったスケッチブックに描いた僕の絵もたくさんありました。僕が絵を描くのを、父も楽しんでくれていたのかもしれません。

父が描いたのは果物などの静物画が多く、父が亡くなった後に改めて観ると、とても凛々しく、西洋絵画の中に日本人の繊細な感性を感じさせる素晴らしい油絵だと息子ながらに感じます。実家に少し空き部屋が出来たので落ち着いたら父の小さなギャラリーを作ろうと家族で話あいました。また後日、その様子を皆様にもシェアさせて頂きますね。

⁡晩年の父は自分のルーツを知る事に没頭し、先祖に対する敬意と誇りを感じる事が父にとって生きる力になっていたようです。

⁡自分は父によく似ていると言われます。話したかった事がたくさんあって後悔はありますが… 生きる事はそんな後悔の連続なのかもしれません。でも後悔があるからこそ、成長して先へ進んでいけるのだとも思います。ですから、やはり父には感謝しか残りません。

⁡父とそのご縁の全てに感謝し、自分が死ぬ時まで父に誇りを抱いて生きていこうと思います。

⁡令和五年十二月三十一日

田中薫

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